顔のたるみ改善にはフェイスリフトが適しています。特に頬の部分には、「ミッドフェイスリフト」、「頬・頚部リフト」があります。
頬部における除皺術はSMASを利用した下顔面のリフト(アゴのライン~、頚部(首)のリフト)と鼻唇溝上部から頬部内側の中顔面リフトに分けられます。通常両部位はface lift として同時に手術されますが、中顔面においてはSMASの発達が下顔面と異なり、より手術を難しいものとしています。
中顔面においてはSMASの層に含まれる下瞼の眼輪筋は、頬骨骨膜から起こる大・小頬骨筋、上唇下制筋と層的連続性を持ちません。そのため、SMASの挙上という表現にあいまいさをもつことになります。さらに顔面神側前頭枝の存在により側頭部からのアプローチも制限され、外側上方への引き上げが難しくなります。中顔面におけるリフト=ミッドフェイスリフトについて多くの報告がみられるのは、剥離する層、挙上すべき組織、その固定方法などさまざま可能性があるからです。

従来より行われてきたSMAS法は簡便で安全な手術法ではありますが、頬部(特に鼻唇溝)に関してはその効果の程度、持続性に関しては限界があります。その理由はSMASと大頬骨筋との結合部における解剖学的関係、retaining ligamentの存在によるためです。
SMASを耳前部だけで引き上げ効果を出すには、東洋人のような頬骨、エラが張っている顔面骨格をもつ人種には難しく、そこで当院では頬骨隆起部(malar eminence)を境にSMASに対する引き上げ固定法を2つに分けて考えています。SMAS前方部(頬中央部)ではSMAS plicationを行い、SMAS後方部(耳前部)ではSMASectomyを行います。次にretaining ligamentを切離することにより皮弁の可動性がよくなり、後上方への引き上げ効果は大きくなります。しかし、切開創での縫合のみで引き上げた皮膚を支えることにも限界があります。切離したmasseteric ligament、zygomatic ligamentを皮弁引き上げ位置でSMAS側に固定することにより創部緊張が緩和され、傷が早期から目立たず効果の持続性改善にも役立ちます。手技は多少煩雑ではありますが、その安全性、効果を考えた場合には大変すぐれた術式です。
